皆様、昭和昌(しょうかずまさ)の「映画でクルマを」のお時間でございます。映画には雰囲気を盛り上げるのに欠かせない面白いクルマが色々登場します。そんなクルマを取り上げてお話をしたいと思います。
今日の映画は1973年の作品「ジャッカルの日(THE DAY OF THE JACKAL)」、クルマは「シトロエンDS」でごさいます。
フランスのシャルル・ド・ゴール大統領の政権下。大統領の政策に反対する武装組織OASがド・ゴール大統領の暗殺を計画しますが、未遂に終わります。
窮した組織は凄腕のスナイパー(暗殺者)、コードネーム「ジャッカル」と呼ばれる男を雇います。ジャッカルは請負料50万ドルを要求します。木の枝にぶら下げたスイカを撃ちながら、
特別に作らせた分解可能なライフルのスコープを調整するシーンは有名になりました。
事態を重く見た政府は、この暗殺計画阻止のための捜査指揮に、フランス司法警察刑事部次長・ルベル警視を起用して、全力で取り組みます。
ジャッカルは冷静で冷酷。
計画実行と逃走のためにあらゆる手を使います。殺人も厭いません。
大統領暗殺の日、ジャッカルは傷痍軍人を装い、
特別製ライフルを松葉づえに仕込んで、狙撃地点へ。
ルベル警視はこれを阻止できるのか?・・
さて、この映画に登場するのがシトロエンDSです。
映画冒頭、閣議を終えた政府要人を乗せるためにズラリ並んだ公用車はすべてこのシトロエンDS。大統領夫妻を乗せたシトロエンDSをマシンガンで襲い、公用車を止めようと前に突っ込むOASのクルマもシトロエンDS。
街を走るタクシーにもチラホラ。・・
いやあこのシトロエンDS、ユニークなクルマですよね。フランスしてますねえ、さすがコンコルドやTGVの国。
ラジェーターグリルの無い流線型のボディ、スカートで後輪を覆った空力重視のフォルム。何よりの特徴はシトロエン社が高い技術力で開発した「ハイドロニューマチック・システム」ですね。
「雲にでも乗っているような」「船のような」などと形容される独特の乗り心地を実現したクルマです。
エンジンを切っていると車体が沈み、始動すると浮き上がるんですね。面白いですねえ。
この襲撃事件では、何十発もの銃弾が撃ち込まれ、タイヤも破損、ガラスもこなごなに。・・
ところが、シトロエンDSのハイドロニューマチックとオートクラッチのおかげで車は道路を逸れることなく走り続け、大統領夫妻は無事だったのです。
このシトロエンDSは最初のうちは日本全国に数台しかなかったので、修理が必要な時は修理費用の他に出張旅費や滞在費を請求されたんですね。大変でした。
そして一方のジャッカルが乗っているのが「アルファロメオ・ジュリエッタスパイダー」。途中で捜査陣の目をくらますために色を塗り替えたりしますね。なんでもやるんですね、さすがプロ。
さて、お時間がまいりました。
次回またお目にかかりましょう。
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