映画とヴィトン

お洒落

皆様、昭和子(しょうわこ)の「映画でお洒落を」のお時間でございます。

「映画でお洒落を」って「ティファニーで朝食を 」など意識したわけでは御座いませんのよ。とにかく最新の映画は最新のファッションの宝庫ですから、そのお洒落を盗まなくっちゃ、というわけで私、昭和子がご案内しようと思います。 映画の友やキネマ旬報やスクリーンの編集部にお友達がいる私、昭和子におまかせあれ。

さて、今日の映画は封切りされたばかりの「昼下がりの情事 」です。皆様、ご覧になられまして? 「情事」だなんて、ドキドキしちゃいますわよね?「昼下がり」って言葉にも味わいが・・ でも原題が 「LOVE in the AFTERNOON」なんですね。 なーんだ、ってことはございませんけれど。主役はもちろん、オードリー・ヘップバーン。「ローマの休日 」のアン王女や、「麗しのサブリナ 」のサブリナの、あのヘップバーンでございます。 サブリナパンツ サブリナシューズ のオードリーもキュートでしたけれど、この映画でも素敵なお洒落振りを見せてくれますのよ。

舞台はパリ。ひとり娘・アリアーヌ(ヘップバーン)をこよなく愛するパパは、腕の良い私立探偵。 今回はあるお金持ちから依頼を受けた、奥さんの不倫調査。 現場はホテル・リッツのスイートルーム。高い所から望遠レンズで撮影したのは、ツバ広の帽子とレースで顔を隠した婦人とアメリカの実業家でプレイボーイのフラナガン氏(ゲーリー・クーパー)。 日頃パパの浮気調査のファイルを盗み見るのを楽しみにしているアリアーヌは、今回の調査にも興味深々。フラナガン氏って結構いい男ね、なんて。ご亭主が「リッツに乗り込んで、フラナガンを撃ち殺してやる」というのを聞き、先回りして知らせに行こう、ってところから思いがけない恋の物語が始まります。

ところで、リッツをゥリッツと言うとRにほどよくビブラートがかかって、本格的な発音になりますのよ。あらお話が横道にそれてしまいましたわね、御免あそばせ。

恋の演出のために雇った楽団が演奏する「魅惑のワルツ 」のロマンチックなこと!それにウイットに富んだ洒落たシーンや、台詞が満載ですのよ。 まあ、実際のお話の筋は実際にご覧いただくとしまして、この中に出て来るお洒落についてのお話です。

まず、あの眉毛!ガルウイングと呼ばれる、濃くて端に向かって細くなる独特の眉。スクリーンに登場しただけで、これぞヘップバーン!っていう魅力が溢れますよね!「ローマの休日」や「麗しのサブリナ」でも感じていたけれど、ここで定着したって感じですね。それにあの髪型。アリアーヌカットなんて呼ばれる内巻きの洒落たカット。「悲しみよこんにちは」のセシールカットにも負けていませんよね。 「アリアーヌ巻き」ってお聞きになりまして?スカーフを頭からかぶせて首に巻き、後ろできっちりと結ぶ巻き方です。このきっちりしたところが、また良いのですね。

さて皆様、浮気されたご亭主がピストル片手にフラナガン氏のスイートルームの前でウロウロするシーン。リッツの廊下に置かれた大きなスーツケースにご注目。なんか日本の小紋模様みたいな柄の大きなケースが沢山並んでいますよね。実はあれ、ルイ・ヴィトン と申しましてね、欧羅巴や亜米利加の貴族階級やスノッブの間では有名なブランドですのよ。

あれは多分、船旅用のワードローブや衣装ケースなのでしょう。召使いやメイドを引き連れて船旅をするお金持ちのための物なんですね。チッチッチッチッ、ビトンじゃありません、ヴィトンとおっしゃってね、いいこと。

こちらにもご注目。フラナガン氏が別れ際にアリアーヌに言う台詞「カルティエが開いていれば何か買ったのに」。 この「カルティエ 」、「Jeweller of kings , king of jewellers」(王の宝石商、宝石商の王)と言われるほどのすごいブランドですのよ。

1847年創業で、英国王エドワード7世やスペイン国王アルフォンソ13世、ロシア皇帝ニコライ2世、シャム国王ラーマ5世などの王室御用達を務めたりしておりますのよ。 宝石やアクセサリーだけでなく、ペンやライターなども扱っているので、フラナガン氏自身も愛用しているのでしょう。

それから、アリアーヌがチェロのケースから鍵のチェーンを取り外し足首につけて彼とのデートに望み、恋多き悪女を演じて焼きもちを焼かせる、というシーン。あれはアンクレットと申しますの。ブレスレットの足首版ですね。「プレイガールを演じるならアンクレット 」と覚えましょう。

さて、まだまだお話は尽きないのですが、残念ながらお時間が来てしまいました。 では皆様、次の機会まで御機嫌よう。御免あそばせ。

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