若大将②軽井沢編

僕は昭和徳(しょうかずのり)、慶応義塾大学自動車部の部長さ。若大将なんて呼ばれているけどね。いわゆるひとつの慶應ボーイってやつだね。

今、軽井沢に来ているんだ、もちろん旧軽。うちの別荘もあるけど、どうもパパと一緒だと窮屈なんでね、万平ホテルに泊まってる。ランチには千ヶ滝のグリーンホテルに行ったりもするんだ。

クルマはこの夏はトライアンフＴＲ３Ａ。
ブリティッシュ・ライトウエイト・スポーツってやつだね。
これは義理のママ(パパの再婚相手)からのプレゼント。
「僕の恋人を紹介する」と言ってトライアンフのショールームに連れて行ったら、次の日にこのクルマが届いていたんだ。
映画「死んでもいい」のメリナ・メルクーリとアンソニー・パーキンスみたいだね。
映画みたいに、峠のワインディングロードでカウンター当てながら、バッハのトッカータとフーガ540番を口ずさんだり・・なんてことまではしないけどね。

このトライアンフＴＲ３Ａは９５馬力、最高時速１７５km、０－４００ｍ加速は１８．１秒。オプションで前輪ディスクブレーキ装着。なかなかイカすよね。ゴキゲンだね。

この間、ロイヤル・ファミリーのひとりと友達になったんだ。テニスをやっていてね。そう、あの皇太子と皇太子妃（フグ田家のタラちゃんによるとホータイヒヒ）の間に恋が芽生えたあのテニスコートでね。
それにしてもロイヤル・ファミリーって意外に質素なんだね。テニスの合間の休憩時間に口にするのも、手焼きのクッキーと魔法瓶に入れた紅茶だもんね。
友達になった彼の愛車も意外にも、かなりガタの来ているワーゲン・ビートルだし。

そうそう、この夏に旧軽銀座にいい店が出来たんだ。カフェ・ミズノって言うんだけど、オープンテラス式になっていて、ちょっとヨーロッパ的な気分の店なんだ。
僕みたいに早めに来た連中が、後からやって来る軽井沢族の品定めをしながらお茶を飲む、なんてのにピッタリだね。
それに、アルバイトの女子大生がみんな可愛いんだ。何日かで顔ぶれが変わるんだね。
さっそくその中のひとりと仲良くなって、浅間山の見える牧場で僕の愛馬に二人で乗って楽しんだ。星君にはないしょだよ。
ああ、馬も好きなんだ。僕にとってはクルマも馬も共に可愛い愛馬さ。
しかし牧場で食べるアイスクリームは美味いね。牛乳が搾りたてだからかな？それとも空気が美味いからかな？