映画「過去のない男」アキ・カウリスマキ監督の心優しき人々の物語

名画座・平成のあるじ、平成平(たいらなりひら)でございます。
今日の映画は２００２年の「過去のない男」です。
舞台がフィンランドのヘルシンキ。
ヘルシンキ言いますとあなた、オリンピックですよ。東京オリンピックの３つ前の開催地ですねえ。
あのザトペックが陸上３種目で金メダル取りましたねえ。覚えていらっしゃいますか？すごかったですねえ、すごかった。

この作品、私が観てまず驚いたのはその風景ですねえ。少し前の日本のような懐かしい風景なんです。
誰が持ち主ともわからないような空き地があったり、コンテナハウス言うんですか、私でも子供の頃に見たような気のする・・風景なんですねえ。本当に見たかどうか分かりませんけどねえ。私は黒澤明監督の「どですかでん」を思い出したりしましたねえ。

それと出て来る人たちがみんな、ぶっきらぼうで、それなのに心優しい、って言うと変に思われるでしょう？でも本当にそうなんですねえ。観ていてとても幸せになれる映画です。

これ、監督がアキ・カウリスマキっていう人なんですが、これがこの監督の映画の作り方なんですね。独特ですねえ。
この監督、「美男美女が演じなくても、恋愛映画は作れる」とかなんとか言っているみたいですが、まさにその通りなんですねえ。
記憶を失った主人公に恋をするのが、救世軍の女性メンバーを演じるカティ・オウティネン。この人がまたいい味出しているんです。このカティ・オウティネン言う女優さん、カンヌ国際映画祭で主演女優賞を獲っているんですねえ。

またこの映画の良いところのひとつに、音楽がありますね。
救世軍メンバーのエレキバンドの演奏もいいし、・・日本の曲もいい感じに使われていますねえ。
例えば「ハワイの夜」。夢のハワイですよ。トリスを飲んでハワイへ行こう、のハワイですよみなさん。