若大将

乗り物

僕は昭和徳(しょうかずのり)、慶応義塾大学自動車部の部長さ。若大将なんて呼ばれているけどね。いわゆるひとつの慶應ボーイってやつだね。
自動車部って言っても、自動車を作ったり整備やったりする訳じゃない。まあ好きなクルマをころがして遊んでいるようなもんだね。部員の中には富士スピードウェイでレースやったり、ラリーやったりしているのもいるけど、僕は気楽にやっているんだ。

最初に乗ってすぐにぶつけたクルマがパパのカルマンギア。大目玉食らったけど、メルツェデスとかジャギュアとかマセラティとか、何台もあるんだからいいんじゃないかって言ったんだけどね。
ああ、パパはいくつかの会社の社主やってる、社長じゃなくてね。

別荘のひとつが葉山の御用邸の近くにあるんだ。「悲しみよこんにちは」の海の別荘みたいな感じかな。
ここにはいすず117クーペで乗り付けて、水上スキーなんかやってるね。117クーペのヘッドライトは、丸のやつ、角形じゃなくてね。ジウジアーロデザインの何とも美しいシルエットがお気に入り。この流麗なボディは量産プレスが効かなくて、手作り(手叩き)らしいね。
部員連中も一緒に連れてパーティーやる時は、青大将インパラで行ったりもする。オープンのやつね。僕の隣には女子部員の星君が座るのがいつもの決まりなんだ。

軽井沢の別荘に行くときはプリンス・スカイラインGT-B
ストレートシックスを乗せているからその分ロングノーズになってる。フロントヘビーでちょっと難しいけど、そこがまた面白いんだ。よく義塾の貴公子と呼ばれる僕には、プリンスって言うのがピッタリだよね。

山荘のひとつが白馬にあるんだけど、山に行くときはもっぱら上高地帝国ホテルを愛用してるんだ。あの赤屋根が可愛いよね。スイスに留学してた頃を思い出すね。 ベランダからの穂高の眺めは特にお気に入り。
ここに行くときは意外にも、日野コンテッサクーペ1300なんだ。
ミケロッティデザインの優雅な貴婦人。貴公子と貴婦人、よく似合うと思わない?ルノー8・ゴルディーニにちょっと似てるところもお気に入り。

まあ他に持ってるクルマとか、今まで乗った子とか、部員のクルマとか色々あるんだ。ベレGとか、世界初のタルガトップのヨタ8とかホンダスポーツ600とかね。MGとかトライアンフなんかもね。

話の続きはまた今度。
それじゃあ、またね。


タイトルとURLをコピーしました