夜の大捜査線

映画

ハイみなさん、こんばんは。名画座・昭和のあるじ、昭和則(しょうかずのり)です。
今日の上映作品は皆さんお待ちかね、「夜の大捜査線」です。1967年の作品ですね。とても見応えのある映画です。アカデミー賞作品賞を受けていますね。
それではどうぞじっくり御覧なさい。後でまた会いましょうね。

レイ・チャールズのブルージーでソウルフルな歌声で、映画の原題と同じ主題曲「In the Heat of the Night」が流れる中、オープニングの映像です。
ポツッポツッとにじんだように光が見えていて、真ん中の光が十字に輝いたかと思ったら、それが長距離列車のヘッドライトだったのですね。これから始まるドラマへの期待感が高まります。

アメリカ南部の町で珍しく起きた殺人事件に、誤認逮捕の連続など捜査に右往左往する地元の警察。そこに居合わせた北部から来た腕利きの黒人刑事が、南部の人種差別の壁に阻まれながらもやむなく捜査を手伝い、事件を解決するというお話なんですが・・。

北部から来た黒人刑事・ティッブスにシドニー・ポアティエ。人種差別に凝り固まった南部の警察署長がロッド・スタイガー

この黒人刑事、いいですね。知的でプライドを持っていて・・。
黒人男性を差別的に「Boy」と呼ぶの対して、誇りをもって「みんな私をミスター・ティッブスと呼んでいる!(They call me Mister Tibbs!)」と返すんです。痛快ですね。
この台詞は、アメリカ映画の名セリフベスト100で第16位にランクインしているんですね。
それでまたこのティッブス刑事、かっこいいんです。ボタンダウンシャツにナチュラルショルダー、3ツボタン中1ツ掛け、レジメンタルタイでパリッと着こなしたスーツ姿はホレボレしますねえ。

対する南部男の典型のような警察署長、ロッド・スタイガー。
いつもガムをクチャクチャ、コーラをグビグビやりながら、部下の署員を叱り飛ばしたり・・。ティッブス刑事に対しても初めは差別意識丸出し・・と思いきや・・これがどうしてバカじゃない。だんだんとティッブスの能力を認めるようになり、差別意識も薄れて、人間として尊敬するようになっていく・・というのを、とても上手く演じています。
ロッド・スタイガーという人、只者ではありませんね。この作品でアカデミー賞主演男優賞に輝きました。
署長の家でティッブスと2人で酒を飲みながら会話するシーンはアドリブだそうなんですが、いい雰囲気出てますよね。お互いに寂しい独身男だというのも面白いところですね。
また最後にティッブスが町を去る日、駅でのシーン・・。
ティッブスと署長との間に、奇妙な友情のようなものが生まれていた・・ような感じが良かったですねえ。

ティッブスと署長が訪ねる町の有力者の邸宅。延々と続く綿花畑とそこで働く黒人労働者の哀しい眼・・。
アメリカ南部での撮影では、シドニー·ポアティエは実際に、何度も嫌がらせを受けたらしいですね。

またこの映画の素晴らしいことのひとつにカメラワークがありますね。
冒頭のオープニングの映像もそうですが、州境の橋の場面では、映画史上初めてズームレンズを使って撮影しているんですね。警察犬を使った捜査でも、カメラが犬の目線になるとかの工夫も沢山あるんです。

ハイ時間来ました。
それでは次週をご期待下さい。サヨナラサヨナラサヨナラ
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「In the Heat of the Night」歌:レイ・チャールズ,作曲:クインシー・ジョーンズ,作詞:マリリン・バーグマン/アラン・バーグマン


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