ミリオンダラー・ベイビー

名画座・平成
Treasure chest with gold coins

名画座・平成、今日の映画は2004年の「ミリオンダラー・ベイビー」です。

女子プロボクサーの話です。
ハングリーな主人公が努力の結果成功し、富(ミリオンダラー)と名声を手に入れる、いわゆる「アメリカンドリーム」の話・・のように思える前半部分。ところが・・
常識やタブーを超えて人間を描こうとする、クリント・イーストウッド監督の映画はそれだけでは終わりません。

60年代に出血止めの名人(カットマン)としてボクシングトレーナー兼マネージャーをやり、今は、ロスの片隅で儲からないジムを経営して20数年のフランキー(クリント・イーストウッド)。

当時コンビを組み活躍したボクサー・エディー(モーガン・フリーマン)は、今ではジムの雑用係。
フランキーは、タイトルマッチを組むのが早すぎたせいでエディーが片目を失った、と負い目を感じています。

そこに、
フランキーにトレーナー兼マネージャーをやって欲しいとやって来たマギー(ヒラリー・スワンク)。
家族がトレーラーハウスに住むような貧しいウエイトレス。
客の残した肉を持ち帰るのを見られ、「犬にあげるの」なんて泣かせます。

最初は拒んでいたものの、ついにマギーを受け入れたフランキー。
名トレーナー振りを発揮します。
そして、破竹の進撃で勝ち進むマギー。
ついに「ミリオンダラー」のファイトマネーを50:50で、タイトルマッチに挑みます。場所はラスベガスのリング。
相手は反則技で有名な「青い熊・ビリー 」。
試合はマギー優勢で進みますが、
ラウンドが終わってからビリーに後ろからのパンチで倒されたマギーはコーナーに出された椅子にぶつかり、脊椎損傷を起こし全身麻痺に・・。
しかし病床にやって来た家族は、エゴをむき出し。

マギーに懇願されたフランキーは、
ついにマギーを永遠の眠りにつかせます。

最近のイーストウッド監督の傾向ですが、映画は静かに始まり、静かに終わります。これがいいんですね。
エディー(M・フリーマン)の押さえた語りで進められるストーリー。
そしてタイトルの出し方もごく控えめに。・・

また、脚本がよく出来ていますね。
そぎ落とされた短いセリフが伏線となり見事な効果を上げています。
フランキーの言う、「自分自身を守れ」、
「(ボクサーは)タフなだけでは足りない(Tough ain’t Enough)」・・
極めつけがマギーのガウンに付けた名前、「モ・クシュラ」。
最後の最後にフランキーがその意味をささやきます。
「愛する人よ、お前は私の血(My darling, my blood)」

象徴的なのが、マギーの亡くなったパパが飼っていた犬の話。
「アクセル(犬)は足が悪くて前足だけで這いずり回っていたの。ある日、パパはアクセルを連れて森へ・・戻ったときは独りで、車の荷台にはシャベルが・・」
そして最後に・・
「ボス、お願いがあるの。パパがアクセルにしたことを私にも・・」

これは
家族がいるのに家族がいない二人が家族になる話とも言えるでしょう。
アカデミー作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞を獲り、高く評価された作品ながら、宗教団体などに物議をかもしましたが・・
「ミリオンダラー・ベイビー」は
家族愛の物語とも言えるのではないでしょうか?

この映画は
初めての本格的な女子プロボクサー映画となっています。
ヒラリー・スワンク、筋肉のかたまりになってがんばっていますね。
アカデミー主演女優賞に輝いた授賞式には
お尻の割れ目が見えるほどの超ベアバック・ドレスで現れ、
鍛え上げた背筋を見せつけたそうです。

イヤア、映画ってほんとーにいいもんですね。
それでは皆様、またお会いしましょう。


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