マイガール,マイガール2

名画座・平成

名画座・平成、今日の映画は1991年の「マイガール」、1994年の「マイガール2」です。

舞台は1970年代のアメリカ・ペンシルベニア州の田舎町。
70年代ですから、はいているズボン(ジーンズ含め)はフレーヤードでハイウエスト(ハイライズ?)の脚長シルエット、ヒッピーもどきがいたり、スーツやドレスはポリエステルだったりしています。

監督がハワード・ジーフ。マイガールこと主演のベーダにアンナ・クラムスキー、親友のトーマス・Jに「ホームアローン」のマコーレー・カルキン。
大人への階段を上り始めた少女・ベーダの心模様を温かく、瑞々しく、そして深く、濃く描いた、感情を揺さぶられる・・名作です。

葬儀屋を営む父子家庭で育った11才(マイガール)、13才(マイガール2)のベーダと彼女を取り巻く様々な人たちとの交流。
例えば・・
・十分にこちらを見てくれなかったりするけれど、愛情豊かな父親。
・トーマス・Jとの淡い恋のような友情とその喪失。
・詩の先生への初恋と失恋。詩の教室ではちゃっかりと男性優先でハグするベーダ。
・「女」の先輩として強い味方になってくれる、(遺体の)メイク係・シェリー。
・パパとシェリーの恋の進展とベーダの嫉妬。
シェリーに「女の戦い」をしかけるベーダ。・・など

ロスで自動車修理工場を営むフィル叔父さんは、恋人のローズとその息子、ニック(オースティン・オブライエン、ベーダと同年代)と同居しています。マイガール2では、春休みの宿題レポート「何かを成し遂げたけれど会った事のない人=ママ」のために居候することに。ルーツ探しが大きなテーマになっています。
・男の子との付き合いでの、女友達の「裏切り」
・出会いからしばらくの間のニックとの折り合いの悪さ。
だんだんと打ち解けて、信頼しあい、恋心に・・
・家では、パパとシェリーが結婚し、妊娠、まもなく出産に。
シェリーとベーダはすっかり強い味方同士に。
・ルーツ探しを応援してくれる人たち・・
ママの同級生の巡査部長・タナカ、卒業アルバムの出版社の人、元ボーイフレンドの映画監督、ママの詩の先生、女友達の占い師、そして最初の結婚相手。・・など

「子どもは哲学者」と言います。
「宇宙の果てはどうなっているの?」とか
「ひとは、自分は、何のために生まれて、生きていくの?」とか
「死ぬってどういうこと、死んだらどうなるの?」とか・・
根源的なことを考えているものです。

アメリカの葬儀屋というのは日本のような会社組織ではなく、自宅で営むものなんですね。地階で遺体の洗浄や死に化粧をし、衣装を整えて、1階を式場にする。家族の住まいは2階に・・というように。
また母親は難産のためベーダの出産後まもなく亡くなっており、自分のせいでそうなった、という罪悪感をベーダはかかえています。

人生始まって間もないころからベーダの近くには「死」が同居しているんですね。こんな意識が映画冒頭のカメラに向かってのモノローグやいつものお医者さんにいう「鶏の骨がのどに刺さっている」「もう死にそう」などに表現されています。

生と死は隣り合わせにある、ということを前提にして、
生を肯定し、生の賛歌に仕立て上げる。・・
この映画が温かく、瑞々しく、そして深く、濃く、感情を揺さぶる名作たる所以ですね。

またこの映画は台詞がいいですね。
トーマス・J「彼(詩の先生)に振られた時は、僕も候補に入れてよ」
ベーダ「天国は、みんな仲良しで羽の生えた白馬に乗りながら毎日マシュマロ食べてスポーツは敵味方関係なくのんびりやるところ」・・など

音楽の使い方がまたいいですね。
例えば亡くなったママがフィルムの中で歌っていた「SMILE」を
シェリーの赤ちゃん=ベーダの弟の子守歌にして歌うとか・・
泣けますね。
エンドロールで流れる「My Girl」はもちろんのこと。
ベーダは、脚本家や監督などの製作者だけでなく、
観客も含めたみんなの「My Girl」というところでしょうか。

イヤア、映画ってほんとーにいいもんですね。
それでは皆様、またお会いしましょう。


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